
いつもお客さんで賑わう「山のcafe sasahara」。里山の景色が広がる場所にあります。訪れる人は大切な友人や家族と少し日常から離れて心地よい時間を過ごしているように見えます。このゆったりとした心地よさを探るべく、サービス管理責任者の菊池真澄さんにお話をうかがいました。

山里舎が運営するカフェ「山のcafe sasahara」は就労継続支援B型事業所です。障害や難病のある人が利用できる障害福祉サービスのひとつで一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい人たちに就労の機会や生産活動の場を提供しています。一見他のカフェと変わらない寛げる心地よいカフェです。
真澄さんの両親が空き家となっていた実家を相談支援事業所として活用しようとしたのが始まりでした。寛げてみんなが喜んでくれるものは何だろうと話し合ったところ美味しいものはみんな喜ぶよね、とカフェを開くことに。

ランチはごはんプレート、キッシュプレート、サンドイッチプレー
トがあります。こちらはごはんプレートのキーマカレー。
現在5人の利用者さんがそれぞれの経験や得意分野を生かして働いています。真澄さんは特に利用者さんとのコミュニケーションを大事にしています。最初は行き違いもあったそうです。伝えかたを工夫し一緒に過ごす時間を重ねたことで、利用者さんは深いところの考えや気持ちを伝えてくれるようになったといいます。「お互いに理解する上で伝え方などコミュニケーションはすごく大切にしたい。そういう時間を大切にすることが大事なんだと利用者さんと一緒に仕事を始めたことによって気づかせてもらいました」。

お店の隣の畑で玉ねぎの苗を植えています。

改装された店内は木がたくさん使われていてとても落ち着く空間。
真澄さんは幼少期、真澄さんの母、登茂子さんが働く特別支援学校で夏休みを過ごし、障害を持つ人との関わりは日常にありました。大人になるにつれ障害を持つ人々との接点が減少し、疑問を抱くようになりました。そんな中、スウェーデンを訪れる機会があり、そこで車椅子の男性が友人と楽しそうにカフェで過ごす様子を目にします。障害を持つ人が地域社会で普通に生活している姿は真澄さんにとって心に響いた忘れられない出来事だったといいます。「想いを一緒に形にしたり、お店で販売している木工品などの作品作りもそうだし、この雰囲気も一緒に歩んでつくっていけたらなあと思っています」。同じ目線で話す真澄さんの根底には幼少期の経験やスウェーデンの出来事があることを知り、真澄さんをはじめ、ここで働く人たちがゆったりできる雰囲気を作っているのだなあと思いました。
一般社団法人 山里舎
山のcafe sasahara
茨城県常陸太田市西河内中町630-1
TEL/FAX:0294-78-0770
MAIL:yamasatosya.hitachiota@gmail.com
営業時間:11:00〜14:30
定休日:日・月
席数に限りがあるため予約がおすすめです
文・写真 山野井咲里
写真提供 山の cafe sasahara