
「昔から水戸の食を支えてきた農家さんがいる」。
水戸で代々農家を営む人たちの存在を教えてくれた「晴れ晴れファーム」の西村智訓さん。都市農業のこと、「愉快な農家グループ☆水戸の農家たち。」の活動、今後の農業のこと、西村さんにお聞きしました。
水戸の食を支えてきた農家さん
西村智訓さんは、妻の美果絵さんと共に、2010年冬就農するために茨城に移住。東日本大震災の経験から街に近いところで食料を作ることが自分達の役割なのでは、と都市農業という選択をします。水戸は都市でありながら中心地の周りには代々農家を営む人たちがいて、新鮮な野菜が身近に手に入る恵まれた場所とのこと。
「ほとんどの人が意識していないと思うけれど、街にいながら新鮮なものが食べられる環境はとても恵まれている。新鮮な野菜は味も良く、塩などシンプルな味付けで十分美味しい」と西村さん。移住したばかりの頃、訪れた農家さんのところで出された野菜や漬物がとても美味しくて、思わず「こんなにうまいもん作ってるんですか!?」と聞いてしまったと当初のエピソードを話してくれました。
東京から移住してきた西村さんにとって新鮮で美味しい野菜にとても驚いたそうです。
水戸の農家たちと
西村さんが移住先に茨城を選んだのは、生産品目の多さ、生活環境の良さなど、茨城の農業の可能性を大いに感じていたからです。同じく水戸で農家を営む人たちと親交を深めてきました。一緒にマルシェを開催したり飲み会を開いては、情報交換をしたりしています。
定期的に集まっている飲み会にお邪魔したところ、和気あいあいとしながらお互いの近況、竹を使った肥料の話なども聞こえてきました。試行錯誤しつつ、仲間と話し合える環境が心強いという声も聞きました。「それぞれ、作りかたも作ってる野菜もみんなバラバラだけど、水戸の場所で農家をしている人たちでグループを作って、お互いを知るだけじゃなく、機械が壊れて困ったときに共同で農作業をサポートしたり。僕もそうだったんですけど、農家はみんな最初から仲間がいるわけじゃないんですよ。大体みんなひとりぼっち。みんなで話しているときに、〝ムツゴロウと愉快な仲間たち〟のフレーズが浮かび、それで〝水戸の農家たち〟というグループ名にしました(笑)」。
水戸で農家を営む存在はあまり知られてはいません。そこで西村さんは、京野菜や鎌倉野菜のような地域名型の多品目ブランドを立ち上げたいと、水戸市内で育てた作物を「水戸野菜」と名づけ農家仲間とマルシェなどで販売しています。地域の名前をつければ、より多くの人たちが関わることができ、水戸の農家さんの存在を知ってもらえるのでは。そう考え、水戸で作られた新鮮な野菜を「水戸野菜」と名づけ販売するようになりました。

水戸野菜を広めるために
水戸の農家たちの活動は、作物を作るだけではなく、マルシェやイベントを企画したり、農業体験の場を作り、多くの人に体験してもらっています。また、自然素材で土壌改良を試したり、籾殻や竹を使った肥料作りなど、日々の試行錯誤も欠かせません。
直接お客さんとのやりとりができるマルシェは、「水戸野菜」の存在を知ってもらえるいい機会です。お客さんもどんな人が作っているのか安心して新鮮な野菜を買えるのが魅力です。

大型化、機械化がすすむ郊外型の農業
新鮮な野菜が手に入るという恵まれた環境がある一方、西村さんは、今後の郊外型の農業についても話してくれました。「確実に大規模で大型化、機械化が進み冷凍食品や加工用に同じ野菜だけをどーんと作る農業になっていく」と。それは、冷凍食品や加工品を手に取る人が増えているからなのでしょう。
「スーパーに行って地元産のものが並んでいたら手にとって欲しい。身近なもの食べたいですよね。それに地元産のものを手に取るということが地元農家を応援することにつながります。でも僕たちも生産量に変動があるから、必ず並べられる訳じゃない。そういうときは、スーパーだと他県の野菜も並べられているから、欲しい野菜が過不足なく買えるのがいいところ」。
瑞々しさを目で見て、青々とした匂いや甘い匂い、新鮮さを感じながら手に取った作物は、体にも心にもいいように思います。そんな環境が続いて欲しい、西村さんに話を聞き、私たちの選択が何につながっているのか心に留めておきたいと思いました。
晴れ晴れファーム
愉快な農家グループ☆水戸の農家たち。
代表 西村智訓、西村美果絵
水戸市柳河町地内
野菜の旬に合わせた体験イベントを随時企画、開催している。
Instagram などで情報が得られる
木蘭酒家
中国酒と本格おつまみのお店
茨城県水戸市末広町3-2-34
TEL:029-291-4603
MAIL:mokurann2023@gmail.com
営業時間:ディナー 17:00 〜23:00(L.O 22:30)
定休日:月曜日・祝日
最新情報は【LINE】からご確認ください