
「おとなもこどもも、みんなが集まれる場」を目指して
鹿嶋市にある「くるりん森」は、社会福祉法人美空野学園が運営する児童発達支援・放課後等デイサービスの場です。統括の加藤さんを中心に、こどもたち一人ひとりの「生きていることの想い」を大切にしながら、自然の中でのびのびと過ごす時間を提供しています。
「くるりん森」で出会った、ひとりひとりの〝生きていること〟
今にも歓声が聞こえそうな、県立鹿嶋サッカースタジアムを抜けると、やさしい木々の香りに包まれる場所がある。「くるりん森」それは社会福祉法人美空野学園が運営する、児童発達支援・放課後等デイサービスの場です。

案内してくれたのは、統括の加藤さん。にこやかに迎えてくれたその姿は、まさにこの場所の温かさを体現しているようでした。「ここでは、子どもも大人も、障がいのある人もそうでない人も、いっしょに暮らしていくことを目指しているんです」と加藤さんは語る。
敷地の一角に、畑があり、さつまいもやハーブ類が育てられています。土に触れ、風に揺れる草を眺める子どもたちの姿は、自然と共にある暮らしの原点を思い出させてくれます。「土を掘っていると、みんな本当にいい顔をするんですよ」と笑うスタッフの言葉に、畑で手を動かすことの大切さが思い起こされます。
くるりん森の特徴は、「療育」や「支援」という言葉にとどまらず、「生きていることそのもの」に寄り添おうとする姿勢にあります。一人ひとりが感じていること、抱えていることを、安心して表現できる空間。ここでは言葉にならない気持ちさえも、大切に扱われているのです。
「自然の中に身を置くことで、感覚が呼び起こされるんです。五感が刺激されて、心も体も目覚めていくような感覚ですね」と加藤さんは話す。実際、風の匂いや土の感触、木洩れ日の揺らぎが、こどもたちの表情を豊かにしている。
いま、くるりん森が目指しているのは、「おとなもこどもも、みんなが集まれる場」をつくること。地域の中に自然に存在し、誰でもふらりと訪れられるような場所へ。「小さな共生社会」のような空間。
「みんなで一緒に生きていくって、当たり前のようで実は難しい。でも、それをちゃんとやりたいと思っているんです」と加藤さん。
くるりん森は、支援の現場であると同時に、地域の未来を育てる小さな森なのかもしれない。そこには、人と自然、そして思いが、やさしく交わる風景がありました。
くるりん森
(社会福祉法人美空野学園)
茨城県鹿嶋市宮中 4959-2
TEL:0299-94-8671
営業時間:9:00〜17:15(土、日、祝日休み)
MAIL:kururin@grape.plala.or.jp
HP:https://kururin2022.amebaownd.com
文・写真 岡﨑靖